カルシウム拮抗薬による下部尿路症状の影響はどのくらいですか?(システマティックレビュー; Biomed Res Int. 2017)

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カルシウム拮抗薬により下部尿路症状が引き起こされる?

下部尿路症状は、排尿、蓄尿、排尿後のすべての症状を含んでいます。これらの症状は、しばしば認められるものであり、患者の生活の質(QOL)に悪影響を及ぼします。

また下部尿路症状は、進行性、加齢性、非性別、非臓器特異的な症候群群であると考えられており、様々な疾患、手術、薬剤との関連が指摘されています。そのような薬剤群の一つにカルシウム拮抗薬(CCB)があります。

CCBは、排尿筋のL-カルシウムチャネルを遮断することにより、膀胱の収縮を抑制するだけでなく、最大膀胱圧に達するまでの時間を延長し、最大収縮力、最大排尿速度、膀胱充満速度を低下させ、多尿、排尿回数、排尿障害、夜間頻尿を引き起こす可能性があります。しかし、研究結果は一致していません。

そこで今回は、「CCB使用と下部尿路症状との間に、有意な関係があるのか」という疑問に答えるために行われたシステマティックレビューの結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

研究2023件のうち、5件が組入基準を満たし、本レビューに含まれました。

5件のうち3件は、CCBが下部尿路症状の低下(precipitation)または増悪のいずれかの関与していると述べてられていました。
残りの2件について、1件では、CCB単剤投与のみが若年女性の夜間頻尿と排尿症状の有病率増加に関連することが明らかとなりましたが、もう1件では、CCBと下部尿路症状との逆相関が報告されました。
研究の方法論的な質は、4件で高いとされ、1件で低いとされました。

本レビューの限界としては、意図しない選択バイアスが存在する可能性があること、本レビューで適格とされた研究は5件のみであり、定量的メタ分析には不十分であったことが挙げられます。また選択された研究の中には、CCBと下部尿路症状との関連が主目的ではないものもありました。さらに含まれた研究の大半はCCBの種類を特定していないことも本レビューの限界であると考えられます。

本レビューに適格とされた研究5件において、評価項目のメタ解析は実施されませんでしたが、CCBが尿路症状を引き起こす可能性は否定できませんでした。ただし、試験間の結果は一致していないことから、相関性、そして因果関係についても結論づけることも困難です。

しかし、カルシウム拮抗薬は下部尿路症状を悪化させる可能性があることから、治療開始前に、下部尿路症状リスクがある患者を早期に発見する必要があると考えられます。

処方カスケード、ポリファーマシーにより治療薬剤数が増加し、患者のQOL低下や長期的な転帰を悪化させることが予測されます。さらに医療費の増大にも寄与する可能性があることから、薬剤使用によるリスク抽出、患者におけるリスク回避について薬剤師が注力していく必要があると考えます。

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✅まとめ✅ 研究数は限られているが、カルシウム拮抗薬は下部尿路症状を悪化させる可能性があることから、治療開始前に、下部尿路症状リスクがある患者を早期に発見する必要がある

根拠となった論文の抄録

背景:数多くの薬剤が下部尿路症状の発症と関連することが知られている。そのような薬剤群の一つがカルシウム拮抗薬(CCB)である。

目的:下部尿路症状発現へのCCB関与に関する文献を批判的に検討する。

方法:PubMed、SciELO、Scopus、OpenGreyの各データベースで系統的な文献検索を行い、2016年8月以前に関連する可能性のあるすべての研究を抽出した。

結果:研究5件が組入基準を満たし、本レビューに含まれた。5件のうち3件は、CCBが下部尿路症状の低下(precipitation)または増悪のいずれかの関与していると述べてられていた。残りの2件について、1件では、CCB単剤投与のみが若年女性の夜間頻尿と排尿症状の有病率増加に関連することが判明したが、もう1件では、CCBと下部尿路症状との逆相関が報告された。研究の方法論的な質は、研究4件で高いとされ、1件が低いとされた。

結論:医療従事者は、CCB治療を開始する前に、下部尿路症状リスクがある患者を早期に発見するように努力すべきである。さらに、CCB投与開始後に排尿症状に気付いた場合には、医療従事者に知らせるように患者にカウンセリングを行うべきである。

引用文献

Effect of Calcium Channel Blockers on Lower Urinary Tract Symptoms: A Systematic Review
Muhammad Salman et al. PMID: 29124064 PMCID: PMC5662820 DOI: 10.1155/2017/4269875
Biomed Res Int. 2017; 2017:4269875. doi: 10.1155/2017/4269875. Epub 2017 Oct 16.

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