PCI後におけるコルヒチン投与の効果はどのくらいですか?(RCTのSR&メタ解析; Am J Emerg Med. 2021)

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コルヒチンによる心血管イベントの効果はどのくらいか?

心筋梗塞後に低用量コルヒチンを使用すると、プラセボと比較して、心血管イベントの発生リスクが有意に低下することが明らかになりました(COLCOT試験)。

これにより、コルヒチンによる抗炎症作用に注目が集まっています。しかし、心血管イベントのリスク低下が認められない試験も報告されています。また経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)を受けた患者におけるコルヒチンの効果は明らかとなっていません。

そこで今回は、PCI患者を対象にコルヒチンの効果を検証したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

PCIを受けた心筋梗塞患者 5,526例を対象としたRCT 5件のメタ解析の結果によれば、コルヒチンの使用は、対照群と比較して、主要な心血管有害事象(MACE)を有意に減少させることが明らかになりました。

死亡率、心筋梗塞、重篤な有害事象、再狭窄には明らかな影響が認められませんでした。

コルヒチン群 vs. 対照群
MACEOR 0.78
(95%CI 0.62~0.97、P=0.02)
死亡OR 0.89
(95%CI 0.60~1.32、P=0.57)
心筋梗塞OR 0.88
(95%CI 0.67~1.17、P=0.39)
重篤な有害事象OR 0.71
(95%CI 0.31~1.61、P=0.41)
再狭窄OR 1.02
(95%CI 0.63~1.64、P=0.95)

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RCT 5件のメタ解析の結果、MACEリスクが低下しました。しかし、その構成要素の各リスクが低下しないことは気にかかります。

少なくとも現時点においては、コルヒチンの使用を制限するような結果ではありませんでした。

PCI後の心筋梗塞患者においては、コルヒチンの使用を考慮しても良いかもしれません。

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✅まとめ✅ コルヒチン投与は、PCIを受けた患者の主要な心血管有害事象を減少させた

根拠となった論文の抄録

背景:経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention, PCI)を受ける患者に対するコルヒチン投与の有効性については、依然として議論の余地がある。我々は、コルヒチン投与とプラセボの比較がPCIの治療効果に与える影響を探るため、システマティックレビューとメタアナリシスを行った。

方法:2020年6月までのPubMed、EMbase、Web of science、EBSCO、Cochrane libraryのデータベースを検索し、PCI患者に対するコルヒチン投与とプラセボ投与の効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を検索した。本メタアナリシスは、ランダム効果モデルを用いて行った。

結果:患者5,526例を対象としたRCT 5件がメタ解析に含まれている。全体として、PCIを受ける心筋梗塞患者の対照群と比較して、コルヒチンの介入は主要な心血管有害事象を有意に減少させるが(OR 0.78、95%CI 0.62~0.97;P=0.02)、死亡率(OR 0.89、95%CI 0.60~1.32;P=0.57)、心筋梗塞(OR 0.88、95%CI 0.67~1.17;P=0.39)、重篤な有害事象(OR 0.71、95%CI 0.31~1.61;P=0.41)、再狭窄(OR 1.02、95%CI 0.63~1.64;P=0.95)には明らかな影響を与えなかった。

結論:コルヒチンの投与は、PCIを受けた患者の主要な心血管有害事象を減少させるのに有効であると考えられた。

引用文献

Colchicine administration for percutaneous coronary intervention: A meta-analysis of randomized controlled trials
Chenchao Fu et al. PMID: 33744748 DOI: 10.1016/j.ajem.2021.02.039
Am J Emerg Med. 2021 Feb 22;46:121-125. doi: 10.1016/j.ajem.2021.02.039. Online ahead of print.

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