PCI後の冠動脈疾患患者におけるクロピドグレル治療にはPPIを併用した方が良いですか?(SR&MA; Int J Cardiol Heart Vasc. 2019)

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Efficacy and safety of clopidogrel only vs. clopidogrel added proton pump inhibitors in the treatment of patients with coronary heart disease after percutaneous coronary intervention: A systematic review and meta-analysis

Jun Pang et al.

Int J Cardiol Heart Vasc. 2019 Apr 2;23:100317. 

doi: 10.1016/j.ijcha.2018.12.016. eCollection 2019 Jun.

PMID: 31321282

PMCID: PMC6612751

DOI: 10.1016/j.ijcha.2018.12.016

Keywords: Cardiovascular outcome; Clopidogrel; Meta-analysis; Proton pump inhibitor (PPI).

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の冠動脈性心疾患患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)をクロピドグレルに追加すべきかどうかについては、未だに議論がある。

本研究の目的は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の冠動脈性心疾患患者に対して、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を追加したクロピドグレル vs. クロピドグレルの有効性と安全性を評価することであった。

方法

PubMed、EMBASE、Web of Science、中国生物医学文献データベース、コクランライブラリーを系統的に検索し、2018年10月までにこのトピックで発表されたすべての臨床試験を対象とした。

PCI後の冠動脈心疾患患者の治療において、クロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬併用 vs. クロピドグレルの有効性と安全性を評価した臨床試験を具体的に選択した。定量的データ解析にはRevMan 5.0ソフトウェアを使用し、患者 50,366例を含むランダム化比較試験 15件が含まれています。

結果

・メタ解析の結果、非PPI群ではクロピドグレルとPPI併用群と比較して、MACE(RR=0.82、95%CI 0.77〜0.88)、心筋梗塞再発(RR=0.72、95%CI 0.57〜0.90)、ステント血栓症(RR=0.71、95%CI 0.56〜0.92)、標的血管再灌流(TVR)(RR=0.77、95%CI 0.63〜0.93)、脳卒中(RR=0.72、95%CI 0.67〜0.76)のリスクが有意に低かった。

・全死亡(RR=1.14、95%CI 0.85〜1.51)、心血管死(RR=1.14、95%CI 0.85〜1.52)、出血イベント(RR=1.60、95%CI 0.53〜4.81)のリスクは両群で同等であった。

結論

非PPI群では、MACE、心筋梗塞再発、ステント血栓症、標的血管再灌流術(TVR)、脳卒中のリスクが低いことが観察された。また、両群では、全死亡、心血管死、出血イベントも同様であった。

コメント

冠動脈疾患患者におけるPCI後の抗血小板療法では、アスピリン及びクロピドグレルなどの併用(DAPT)療法が行われます。DAPT療法中は消化管などからの出血イベントのリスク増加が報告されています。

今回の研究では、クロピドグレルへのPPI併用の有無により心血管や出血のイベント発生率が増加するか否か検証しています。

さて、本試験結果によれば、PCI後のクロピドグレル治療におけるPPI併用は、PPIを併用しない場合と比較して、MACE、心筋梗塞再発、ステント血栓症、標的血管再灌流術(TVR)、脳卒中のリスク低下が認められました。一方、全死亡、心血管死、出血イベントは同様だったようです。ただし、出血イベント(RR=1.60、95%CI 0.53〜4.81)については、リスクが増加傾向ですので、同様と言い切って良いものか悩ましいところです。

試験の限界としては、各PPI毎の層別解析を実施していないこと、感度分析を実施していないことなどがあげられます。特にPPI毎の層別解析を実施していない点はクリティカルであると考えます。これまでの研究において、クロピドグレルと、オメプラゾールやエソメプラゾールとの相互作用(CYP2C19による代謝)によりハードアウトカムに影響を及ぼす可能性が報告されています。したがって、PPIの中でも、少なくともオメプラゾールやエソメプラゾールとの併用については分けて解析したほうが、より堅牢な結果を得られると考えられます。試験の内的妥当性については低くないと考えられますが、追加の解析が欲しいところです。

引き続き追っていきたいテーマです。今後の試験結果に期待。

試験方法の詳細について一部抜粋

関連する研究を特定するために、PubMed、EMBASE、Web of Science、中国生物医学文献データベース、コクラン図書館を用いてシステマティックレビューを実施した。

2018年10月までに発表された研究をメタアナリシスに含めた。

これらのデータベースでは、以下のキーワードを用いて研究を検索した;「クロピドグレル」、「プロトンポンプ阻害薬、PPI」、「OME(オメプラゾール)」、「エソメプラゾール」、「pantoprazole(日本では未承認)」、「ランソプラゾール」、「PCI、経皮的冠動脈インターベンション」。

2 人のレビュアーが独立して論文を検索してレビューし、含めるべき研究について意見の相違があれば、2 人のレビュアーが議論して合意した。

メタアナリシスに含まれる研究の包含基準は以下の通りであった;
(1)任意の形式と言語で発表されたRCT
(2)PCIを受けた冠動脈疾患患者からなる患者集団
(3)クロピドグレル+PPIとクロピドグレルのみを比較対象とした介入手段。

以下の特徴を含む研究はメタ解析から除外した;
(1)動物実験や非独自研究(レビュー論文、他のメタアナリシスなど)
(2)他の抗血小板薬や抗凝固薬の使用
(3)自己コントロールを用いたクロスオーバー研究
(4)ベースライン解析における群間の有意差、またはベースライン解析への言及がなかった研究。

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✅まとめ✅

PCI後のCHD患者におけるクロピドグレル治療において、PPIの併用は、PPIを併用しない場合と比較して、MACE、心筋梗塞再発、ステント血栓症、標的血管再灌流術(TVR)、脳卒中のリスクが低く、全死亡、心血管死、出血イベントについては同様であった。

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