アストラゼネカ社製のCOVID-19ワクチンの安全性と有効性はどのくらいですか?(RCT 中間解析; Lancet. 2020)

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Safety and efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine (AZD1222) against SARS-CoV-2: an interim analysis of four randomised controlled trials in Brazil, South Africa, and the UK

Merryn Voysey et al.

Lancet. 2020 Dec 8;S0140-6736(20)32661-1. doi: 10.1016/S0140-6736(20)32661-1. Online ahead of print.

PMID: 33306989

PMCID: PMC7723445

DOI: 10.1016/S0140-6736(20)32661-1

Studies are registered at ISRCTN89951424 and ClinicalTrials.gov, NCT04324606NCT04400838, and NCT04444674.

資金提供:UK Research and Innovation、National Institutes for Health Research(NIHR)、Coalition for Epidemic Preparedness Innovations、Bill & Melinda Gates Foundation、Lemann Foundation、Rede D’Or、Brava and Telles Foundation、NIHR Oxford Biomedical Research Centre、Thames Valley and South Midland’s NIHR Clinical Research Network、AstraZeneca

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する安全かつ有効性の高いワクチンは、高いカバレッジで展開されれば、COVID-19パンデミックの抑制に貢献する可能性がある。

我々は、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの安全性と有効性を、4つの試験をプールした中間解析で評価した。

方法

この解析には、英国、ブラジル、南アフリカで実施された現在進行中の4つの盲検ランダム化対照試験のデータが含まれている。

18歳以上の参加者は、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン群と対照群(髄膜炎球菌群A、C、W、Y混合ワクチンまたは生理食塩水)にランダム割り付けされた(1:1)。

ChAdOx1 nCoV-19群の参加者は、5×1,010個のウイルス粒子を含む2回投与(標準用量、SD/SDコホート)を受けた;英国試験のサブセットでは、1回目の投与量が半量(低用量、LD)、2回目の投与量が標準用量(LD/SDコホート)であった。

主要な有効性解析は、2回目のワクチン接種後14日以上経過して核酸増幅検査陽性の綿棒を採取したセロネガティブ参加者における症候性COVID-19を対象とした。

※セロネガティブ(seronegative):血清学的陰性

参加者は、2020年11月4日をデータカットオフとし、受けた治療に応じて分析された。

ワクチンの有効性は、年齢で調整したロバスト・ポアソン回帰モデルから導き出された1-相対リスクとして計算された。

所見

・2020年4月23日から11月4日までの間に、参加者 23,848例が登録され、11,636例(英国 7,548例、ブラジル 4,088例)が中間一次有効性解析に含まれた。

・標準用量を2回接種した参加者(SD/SDコホート)では、ワクチンの有効性は 62.1%(95%CI 41.0〜75.7;ChAdOx1 nCoV-19群では 27/4,440例[0.6%]、対照群では71/4,455例[1.6%])であり、低用量接種後に標準用量を接種した参加者(LD/SDコホート)では、有効性は90.0%(67.4〜97.0;3/1,367例[0.2%]、30/1,374例[2.2%]、相互作用=0.010)であった。

・両群にわたるワクチン全体の有効率は70.4%(95.8%CI 54.8〜80.6;30/5,807例[0.5%] vs. 101/5,829例[1.7%])であった。

・初回投与後21日目からCOVID-19で入院した症例は10例で、すべて対照群であった;2例は重度のCOVID-19に分類され、そのうち1例は死亡した。

・安全性の追跡調査は74,341人・月(中央値3.4ヵ月、IQR 1.3〜4.8)で、重篤な有害事象は168人・月に175件発生し、ChAdOx1 nCoV-19群では84件、対照群では91件であった。ワクチンに関連している可能性があると考えられる事象は3件であった:ChAdOx1 nCoV-19群で1件、対照群で1件、群分けが明らかにされていない参加者で1件であった。

解釈

ChAdOx1 nCoV-19は許容できる安全性プロファイルを有しており、現在進行中の臨床試験の中間解析において、症候性COVID-19に対して有効であることが確認されている。

コメント

アストラゼネカのSARS-CoV-2に対するワクチンの有効性及び安全性を検証しているRCT、その中間解析の結果です。

英国、ブラジル、南アフリカで実施された盲検化RCT 4件のプール解析の結果、ChAdOx1 nCoV-19ワクチンの有効性は、SD/SDコホートで62.1%、LD/SDコホートで90.0%、全コホートで70.4%でした。安全性について、重篤な有害事象は対象群と差がありませんでした。

まだ中間解析であるため、結果を鵜呑みにはできませんが、有効性・安全性に大きな懸念はなさそうです。引き続き追っていきたいテーマです。

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✅まとめ✅

RCTの中間解析の結果、アストラゼネカ社製のCOVID-19ワクチンの有効性は、SD/SDコホートで62.1%、LD/SDコホートで90.0%、全コホートで70.4%だった

重篤な有害事象に差は認められなかった

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