腎障害を有する2型糖尿病患者におけるカナグル®️の効果はどのくらいですか?(DB-RCT, CREDENCE; NEJM 2019)

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Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy

N Eng J Med. 2019. April 14, 2019

DOI: 10.1056/NEJMoa1811744

PMID: 30990260

Funded by Janssen Research and Development

ClinicalTrials.gov number, NCT02065791

【背景】

2型糖尿病は、世界中で腎不全の主な原因である。しかし有効な長期治療法はほとんどありません。ナトリウム – グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤を用いた心血管試験において探索的な結果では、SGLT2阻害薬使用により2型糖尿病患者の腎アウトカム改善の可能性が示唆された。

【方法】

本二重盲検ランダム化試験では、2型糖尿病およびアルブミン尿症性慢性腎臓病患者を経口SGLT2阻害薬カナグリフロジン1日100mgまたはプラセボに割り付けた。 すべての患者は、体表面積および1分当たりのアルブミン尿(アルブミン[mg]対クレアチニン[g]の比 >300〜5,000)の30〜89 mL/分の推定糸球体濾過量(eGFR)を有し、レニン – アンジオテンシン系遮断薬による治療を受けていた。 主要アウトカムは、末期腎障害(透析、腎移植または持続的にeGFRが15 mL/min/1.73 m未満)、血清クレアチニンレベルの倍増、腎臓または心血管系を原因とする死亡の複合であった。 事前に特定された副次アウトカムは階層的に試験された。

【結果】

本試験は計画的な中間分析後、データおよび安全監視委員会の勧告により早期に中止された。 中止時点で、4,401人の患者がランダム化されており、追跡期間の中央値は2.62年だった。 ・主要アウトカム( 末期腎臓病、血清クレアチニンレベルの倍増、腎臓または心血管系を原因とする死亡の複合)の相対リスクは、プラセボ群よりカナグリフロジン群の方が30%低く、1,000患者年あたりの発生率はそれぞれ43.2および61.2だった。 【ハザード比 =0.70, 95%信頼区間[CI] 0.59〜0.82; P = 0.00001】
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・末期腎臓病、クレアチニンレベルの倍増、または腎原因による死亡を複合とした腎臓特異的アウトカムの相対リスクは、カナグリフロジン群の方が34%低かった。
【ハザード比 =0.66; 95%CI、0.53〜0.81; P <0.001】
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・また末期腎臓病の相対リスクは32%低かった。
【ハザード比 =0.68、95%CI 0.54〜0.86、P = 0.002】
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・さらにカナグリフロジン群では、心血管死、心筋梗塞、または脳卒中の危険性が低く(ハザード比 =0.80、95%CI 0.67〜0.95、P =0.01)、心不全による入院もリスク低下が認められた(ハザード比 =0.61、95%CI 0.47〜0.80、P <0.001)
・下肢切断率や骨折率に有意差はなかった。

【結論】

中央値2.62年の追跡期間において、腎障害を有する2型糖尿病患者でのカナグリフロジン使用は、プラセボ群に比べて、腎不全および心血管イベントリスクが低下させた。


【コメント】

アブストのみ。
試験が途中解析後に早期中止になった場合に、実際の効果より過大評価されていることが多い。本試験はイベントドリブン試験であるため、イベント数が設定値を超えた際に、中央評価委員会の勧告により、試験が中止されている。
さて、本試験ではプライマリーアウトカムにおいて、プラセボと比べて有意なリスク低下が認められた。それも中央値で2.6年程度となかなか短い。
研究結果としては、一見かなり良い印象を受けるが、プラセボとの絶対差は4.4%程度である。一方、NNTは23と良さそうな値。
eGFR 30以上のCKDを合併し、レニン-アンギオテンシン系薬剤による治療を受けている60歳前後の2型糖尿病の白人etc. 患者には、治療選択肢の一つとして有用かもしれない。
なぜ下肢切断リスクは増加しなかったのだろうか、CANVAS試験と比較してみたいところ。

コメント

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